SmartBiz+ 導入事例

五洋建設株式会社

五洋建設株式会社(以下、五洋建設)は、1896年に水野組として広島県呉市で創業して以来、110余年の歴史を誇る老舗総合建設企業である(1967年より現社名)。現在では、土木・建築・国際の3事業部門を擁し、特に海洋土木では日本一の実績を誇る。スエズ運河の拡幅工事、シンガポールの埋立地造成や港湾浚渫(しゅんせつ)工事など多くの海外事例を持ち、高い評価を受けている。同社がSmartBiz+をペーパーレス化や情報共有に活用していると聞き、お話を伺った。

SmartBiz+をペーパーレス化や情報共有に活用したことでiPad導入が約850台になりました。
せいぜい400台から500台までぐらいだろうと予想していたので想定を超えて大きく使われています。

写真:五洋建設株式会社 経営管理本部 経営企画部 ITグループ長 大久保 光 氏

1. 総合建設業としてバランスがとれてきた

-- まず御社について教えてください。五洋建設といえばマリンコンストラクター(マリコン)というイメージが強いのですが。

日本海軍の港湾土木工事を従事してきた歴史がありますし、戦後も埋め立てや港湾浚渫の実績も豊富です。また、2008年からの中期経営計画では「臨海部ナンバーワン企業」を目標に掲げています。ただし、会社全体としては、総合建設業を自認しており、土木・建築・国際の3部門の収益もバランスのとれたものと言えます。たとえば、今年度の大きなトピックスでは、シンガポールで地下鉄工事や大型総合病院建設を受注しています。

-- シンガポールとの関係が非常に強いですよね。

1965年にシンガポールに出張所を設立した前年からなので、今年でちょうど50年のお付き合いになります。総合病院建設は同国史上最大規模のもので、受注額は日本円に換算すると約959億円になります。

2. 想定を大きく超えて使われている

-- 貴社ではタブレット端末やスマートフォン等のスマートデバイスを現場で有効活用していると伺っています。どのように活用されているのか教えてください。

ペーパーレス化と情報共有が主なねらいです。具体例は以下の通りです。

  • 電子化した配布資料をテレビ会議で共有
  • 現場でのメールやスケジュールの確認
  • 現場での最新版の図面や仕様書の閲覧
  • 客先でのプレゼンテーション
  • 気象情報の閲覧
  • 施工現場のリアルタイム監視

-- 補足をお願いします。「気象情報の閲覧」とは。

海上での工事が多いので、我々が「海象」と呼ぶ海上の気象、たとえば現場での波の高さなどを知りたいのです。ですが、天気予報等は基本的に人が住む場所、すなわち地上が中心です。そこで、気象庁から入手した気象データを独自解析した「海象」の予報システムを作っています。Webベースのシステムなのでブラウザがあれば見ることできます。そこで、iPadのSafariで不具合なく見られるように対応しました。

-- もう一つ、「施工現場でのリアルタイム監視」についても教えてください。

「現在850台のスマートデバイスを導入しています。これは当初想定を大きく上回っています。」

現場に防犯や安全確保のために設置している監視カメラを自席のPCでモニターできるようになっています。これをタブレットやスマートフォンでも見られるようにしただけです。

-- 現在、何台ぐらいのスマートデバイスを導入しているのでしょうか。

2014年9月現在で、約850台になりました。せいぜい400台から500台までぐらいだろうと予想していたので、想定を超えて大きく使われています。

-- スマートデバイスは、ITグループが決定したものを使ってもらっているのでしょうか。

現場主導で好きなものを購入して使ってもらっています。実態としては、iPadかiPad miniがほとんどです。ITグループでは、セキュリティや使用性を担保するために、スマートデバイスの利用基準を作っています。たとえば、社内ネットワークに接続しないなどのルールを設けています。

3. スマートデバイスの用途を研究しようと思ったらタイミング良く

-- スマートデバイスの導入を考えたきっかけと時期を教えてください。

2011年の東日本大震災を1つのきっかけとして、事業継続計画(BCP)について真剣に検討する会社が増えました。その一環として、社内にいなくても情報システムにアクセスできるスマートデバイスが脚光を浴びるようになりました。

そこで、我々も時流にキャッチアップするために、スマートデバイスの用途を研究することになりました。当初は、取引先の営業パーソンがプレゼンテーション・ツールとして使っていたので、そういう使い途が多いのだろうなと漠然と思っていました。

2011年の9月に、iPad、Androidタブレット、Windowsタブレットのテスト機をそれぞれ1台ずつ導入して、試験運用を開始しました。するとタイミング良く、東京土木支店から「スマートデバイスを使って会議資料のペーパーレス化や図面の共有ができないか」という相談をされたのです。そこで協力してテストをすることにし、2012年1月にiPad20台をレンタルして同支店に導入し、プレ試験運用を開始しました。

現場でテストを重ねながら、ITグループでは利用基準を並行して作成しました。2012年3月までに実際に利用できるという見通しがついたので、2012年の春にiPad70台を購入し、試験運用を開始しました。

-- どのような見通しだったのでしょうか。

コスト面での見通しです。東京土木支店の目的がコピー代や紙代を含めた印刷コストの削減だったので、コスト削減のシミュレーションを実施し、iPadの導入コスト・通信費用など新規に掛かるコストと比較しました。1年間運用すればペイするという分析結果が出たので、試験運用を開始したのです。

その後、2012年度中に200台のiPadを導入し、2013年度からは他支店にも展開しました。現在では、先ほども申し上げた通り850台に至っています。

-- 急激に拡がっていった理由は何だったのでしょうか。

東日本大震災の復旧工事です。各支店からいったん東京に籍を移してから東北の現場へ工事に行く形になります。東京でスマートデバイスを配布されて便利さを知り、工事が終わると各支店に戻りその支店で利用を始めるという形で拡がっていきました。

4. 最初はペーパーレス会議システムを探した

-- SmartBiz+の導入を考えたきっかけは何でしたか。

東京土木支店の要望が会議でのペーパーレス化だったので、ペーパーレス会議システムが出展されている展示会に情報収集しに行きました。ところが2つほど見たところで、違和感を覚えました。

-- どのような違和感だったのでしょう。

専用のサーバーを設置して、同じ場所に集まって会議し、発表者が資料を提示すると、同期して書き込みが可能になるというのが、ペーパーレス会議システムの標準的な姿のようでした。しかし、我々が求めていたのは、その場にいない人でも電子会議システムで会議に参加でき、配布資料を電子化して共有したいということだけだったのです。

ならば、スマートデバイスが利用できるファイル共有システムで十分ではないかと気づいたのです。

-- それでSmartBiz+を見つけ出したということですね。他に比較した製品はありましたか。

同様のサービスが他に1社だけありました。

-- 選定ポイントは何でしたか。

機能的な要件でいえば、アクセス権の設定ができること、誰がいつアクセスしたかが分かるログが取得できること、Explorerライクの慣れ親しんだ操作性があることなどでした。

-- SmartBiz+に決めた理由を教えてください。

コストです。初期コストは大差ないのですが、SmartBiz+は容量が大きくなればなるほどコスト的な利点が出てくることが、試算して分かりました。

五洋建設でのSmartBiz+の活用

5. 月50万円程度の印刷コストの削減とストレス軽減になった

-- 定量的な導入効果があれば教えてください。

東京土木支店で、印刷コストが月50万円程度、年間で約600万円削減されました。

「東京土木支店では、印刷コストが月50万円程度削減され、印刷に関わる作業時間も激減しました。」

-- 定性的な効果はありましたか。

会議資料は、修正があると差し替え版をさらに印刷し、配布しなければなりません。関係者が多いため、大量印刷となります。しかたなく昼休みや夜間など業務に差し障りのない時間帯に実施していました。電子化されたことで印刷に関わる作業時間が激減し、もっと収益を生む仕事へのリソース転換やムダな残業の削減が可能となりました。

-- 教育に時間は掛かりましたか。

各支店に展開する際に一度だけITグループが、利用基準と使い方の説明会をしたぐらいですね。

ただ、各支店で発見した便利な使い方を横展開したいので、昨年と今年に利用報告会を実施しました。今後も年に1回か2回、継続していきたいと思っています。

6. CTCへの評価と期待

-- CTCに対する評価を聞かせてください。

営業担当が親身になって相談に乗ってくれました。また、問合せへの回答・対応もクイックレスポンスだと思います。

JV(ジョイント・ベンチャー)の現場で1つの契約ができるなど柔軟な対応もしてもらっています。これによりサブコンとの情報共有が可能になり、助かっています。

-- CTCに期待することを教えてください。

当社では、部門主導で導入してきたので、契約が細かく部署ごとに分かれています。現在の仕様では、契約をまたいでのファイル共有ができません。契約をまたいでも、フォルダ単位でファイル共有ができるようにして欲しいと要望しました。CTCの担当者から開発ロードマップに載せたとの回答をもらっています。

以上は機能面の話ですが、契約管理自体も複数の部署ごとの契約となると一元管理がしづらくなります。契約をどのように取りまとめていったらいいか、なるべく我々の手が煩わされない形で提案ないしアドバイスがいただけると助かります。

-- 本日は、貴重なお話をありがとうございました。

取材日:2014年9月19日 五洋建設株式会社 http://www.penta-ocean.co.jp/

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